KWL表で、思考を明晰にする方法
本を読んだり、授業を受けたり、博物館へ出かけたのに、何が分かったのかがチンプンカンプンなまま、ということはありませんか?
確実に新たな知識を自分のものにするための技術のひとつに、
KWL表(KWL table)
というものがあります。
K=What I know 自分が知っていること | W=What I want to know 自分が知りたいこと | L=What I learned 自分が学んだこと |
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上の表を、手近な紙やノートに書いてみてください。
頭の中に思い浮かべるだけでもOK。その場合は、ハッキリとこの表をイメージしましょう。
K:
例えば、来月旅行へ行くベトナムの歴史について。大学のフランス語の授業の文法について。今度デートに行く美術館に展示されている西洋美術について。
自分が知っている限りのことを、「K」と書いた部分の下の欄に箇条書きしていきます。
これは言わば、今の自分の限界を眼で見えるようにするということ。
これをハッキリさせることで、今の自分を確実に超えられるようになります。
W:
K欄を埋めたあなたには、いろいろな疑問が生まれているはずです。
「第二次世界大戦以降のベトナムが悲惨な争いの舞台になったことは知っている。それが現在のベトナム国民の生活にどのような影響を及ぼしているのか。それは旅行先で垣間見えるものなんだろうか。」
「明日から接続法の単元に入ると先生が言っていた。今まで習ってきたのは直接法というカテゴリー内の文法らしい。接続法は直接法とどう違うのか。」
「印象派って、どうして有名なんだろう?」
疑問=知りたいことをハッキリさせると、頭は自動的に、その答えを探そうとします。
L:
本を読んだあと。旅行へ行ったあと。授業を受けたあと。美術館へ行ったあと。
Wの疑問にどんな答えを出せたか、書いてみましょう。
もちろん、L〜Wに書いたこととは関係なくても結構。
自分が新たに知ったことを言語化することで、知る前の自分と決別できていることが分かります。
この学習法(思考法)は、今すぐにでも使える方法です。
学生やビジネスパーソンにこそおすすめで、何度も使って脳ミソに浸し思考の土台にしたい技術の筆頭です。
更に詳しい解説
・新しい知識を取り入れるのが苦手な人って、世の中、本当に多いんです。
原因の大半は、自分の中に入ってくる情報を整理するシステムを教わったことがないためだと思われます。
・KWL表は、教育の手法を研究しているDonna Ogle博士が1986年に発表した論文『K-W-L: A teaching model that develops active reading of expository text. 』が初出で、その後は別の研究者たちがこの方法論を検討し修正を加えてもいるようですが、そもそもオリジナルのアイディアが抜群に使えるものなので、よほど詳しくそのあたりの事情を知りたい人でなければ、あまり難しく考える必要はないです。ガンガン使いましょう。
・ここ数年、「アクティブラーニング」という単語を耳にしますが、これはアクティブラーニングの方法のひとつでもあります。アメリカでは、学習者が能動的に知識を吸収するための効率のいい方法論が何十年も研究されていて、日本はそのおこぼれを拾っているような状態です。「アクティブラーニング」という言葉を使わなければ能動的に学習できない、というのは悲惨だと思いますが、まあ、人間、丸腰で世界に立ち向かうのはムリというものです。KWL表をはじめとして、アクティブラーニングの方法論は、憶えた人から得をするものなので、早速自分のものにしてください。
(元になったのは下のブログ記事です)
関連記事:KWL表で、学習と思考を明晰化しよう。