1:堀江敏幸『おぱらばん』
2:ポール・オースター編『ナショナルストーリープロジェクト』

小説家ポール・オースターが自身の出演する番組の企画として窮余の策で発想した、実話を募集する企画。そこにアメリカ中から多数の投稿が寄せられた。一読して実話とは信じ難い話、読者の笑顔を誘う話、個人的な罪の告白……1話1ページ〜10ページ程の珠玉のエピソードが詰め込まれている。

3:高野文子『るきさん』

流行を知らない独身女性るきさん、流行に敏感なその親友えっちゃん。ふたりは助け合いながら、日常生活を楽しんでいる。ドラマティックな出来事は何も起こらないからこそ面白い、1988年から1992年まで情報誌『Hanako』に掲載されたロングセラー漫画。

4:萩原朔太郎「猫町」

日本の詩歌世界に革命を起こした詩人が書いた唯一の小説。歩みゆく先々で語り手が迷い込む幻想の街は、所詮は幻想なのか、それとも現実の一郭なのか。麗しい/恐ろしいイメージへの虚心な耽溺が、それゆえに記述の冷静さを生み、さらに一歩進んで空想的お遊びへの皮肉になってもいる名品。

5:西東三鬼「神戸」「続神戸」

ある日突然妻子を置いて東京を出奔し、神戸の町に流れ着いた男は、世界各国から喰えない人々が集まるホテルで暮らし始めた。しかしこの町にもやがて戦火が迫る。俳句に革命を起こした異色の俳人が実体験をもとに書いた小説。