【2026年8月11日開始】オンライン講座『批評のアトリエ』を開講します

彗星読書倶楽部の主宰・森 大那が新たに開講するオンライン講座『批評のアトリエ』は、難しく、近づきづらい文章と思われがちな”批評”の名作を、わかりやすく解説する講座です。

「批評」と聞くと、悪口を言うことである、と思われがちです。
それは大きな誤解です。
批評の本質は、「新たな見方を作り出すこと」にあります。
だから、誰でも日常生活の中で、批評的な考え方をすることがあるのです。

この講座は、歴史上いくつもある批評の名作の中から、この世界を生きていく上で何度も使える知恵となる、鋭い見方を提示している作品を取り上げます。
講座内で取り上げる見方を身に付けることで、その考え方を通して身の回りのことを分析できるようになるほか、自由課題を提出していくことで、自分の言葉で批評文を書けるようになります。

第1シリーズは『文化と世界篇』。
第2シリーズは『文学と芸術篇』。
各シリーズ6回ずつ、毎週火曜日21時からにスタートします。

講座の目標

批評の名作を楽しみながら学ぶ

批評という言葉そのものに初めて触れる人も内容を理解できるよう、わかりやすさを大切にしながら、内容を解説する講座です。
もともとの文章が高度な内容を扱っている場合もありますが、必要な知識は全て講義中に説明しますので、参加に際して前提知識は必要ありません。
また、各回の最初には、「批評とは何か?」という文化的側面について、さまざまな角度から解説しますので、批評の基礎と実例を楽しく学べます。

「新しい見方」の作り方を学ぶ

批評とは、これまでにない見方を世の中に提示することで、世の中にあるものの位置づけ・価値を見出し、隠れた部分を浮かび上がらせる文章です。
歴史上の優れた知性が、どのように・どのような批評を生み出したのか、一緒に学んでいきましょう。

受講生自身で批評を書く

毎回、講義資料の最後で、自由課題を出題します。
その回で扱った内容について、講師の森 大那が質問します。
その質問に答えることで、受講生は自然に、関心の赴くままに、批評が書ける構成となっています。
提出は必須ではありません。
提出してくださった方へは、森 大那がコメントを返信し、内容の要約やアドバイスを行います。

参加に際しての注意

  • この講座で扱う内容は、批評業界の動向を解説するものではありません。
  • 狭い世界に詳しい人だけが楽しむ趣味の世界を解説するものでもありません。
  • 批評理論の全てを網羅する事は目指していません。批評という考え方を日常で使えるようになることを目指しています。
  • 批評の言葉は使い方次第で鋭い刃になるので、その力に酔って誰彼構わず切りつける人もいます。そのような価値観はこの講座では肯定しません。

開催日時・講義内容

第1シリーズ『文化と世界篇』

第1回 批評って何なのか?
8月11日(火) 21:00 〜 22:00

第1回では、批評というものの基礎知識と、今日においていかに学べるのか、どう使えばいいのかをレクチャーします。
狭い世界に囚われず、自分の手で世界を拡げるための技術として、批評を学ぶ、その準備運動をしてみます。

後半は、楽しみながら批評を学ぶための例として、歌手の宮城まり子・アニメーション監督の宮崎駿・漫画家の手塚治虫、この3人の文章を取り上げます。
常に社会を見つめていた芸術家たちは、常識と戦う視点を持っていました。
特に、養護学校の校長を務めた宮城まり子が問う「舌足らずな子供の文章は正しい表現へ直すべきなのか」という問題を、批評のお手本として読み取ってみましょう。

第2回 日本人が和服を着なくなった理由
8月18日(火) 21:00 〜 22:00

第2回では、作家・坂口安吾のエッセイ「日本文化私観」を解説します。

小説家でありつつ、むしろ批評的視点のエッセイによって、戦後の日本に多大な影響を与えた坂口安吾。
彼の傑作群の中でも、今日の私たちが読んで新鮮なこのエッセイでは、伝統の価値が歯切れ良く再検討されています。
西洋から日本に来ては、日本人がキモノを着なくなった、と嘆く人々の勝手さを指摘し、「日本的」という発想の欺瞞を暴こうとする安吾は、日本人であることの根拠は過去の伝統ではなく現在の日本人そのものにあると言い切ります。

その延長に書かれる最終章、伝統的な美観とは何の関係もないドライアイス工場や軍艦の美しさを指摘する箇所は、現代の「工場萌え」を先取りする、美学的な考察とも言える面白さを宿しています。
目が醒めるような安吾の論理から、社会の「あたりまえ」と戦う力を手に入れます。

第3回 マイナーなものはなぜ面白い?
8月25日(火) 21:00 〜 22:00

第3回では、文化人類学者・山口昌男の論文集『文化と両義性』を取り上げます。

この世界のさまざまなところに見られる、「中心」と「周縁」の関係。
現代でよく話題になる「メインカルチャー」と「サブカルチャー」の関係もその一例です。
しかし、「サブ」は「反メイン」なのか? 実は「サブ」こそが結果的に「メイン」を強化しているのでは……?

人類の文化を分析する「中心と周縁」モデルを提唱した画期的な論文集を、わかりやすく噛み砕いていきます。
この知恵を体得して、静的=固定された関係ではない、動的=常に動き(うごめき?)続ける関係を読み取れる能力を手に入れます。

第4回 「東洋」への偏見はいかに作られたか
9月1日(火) 21:00 〜 22:00

第4回では、エドワード・サイード『オリエンタリズム』を解説します。

西洋人から見た東洋(オリエント)。”神秘的”で”野蛮”で”後進的”というイメージはいかにして形成されたのか?
人文学者サイードは、イギリスによるインド支配などの例を挙げながら、人為的に形成された、東洋への非現実的な印象が人々を支配してゆくメカニズムを説明しています。

1978年に発表されて以来、あらゆる学問領域に影響を与えた本書。この論文では日本は話題になっていませんが、私たち日本人には大きく関わりのある内容です。
ハリウッド映画がいつまで経ってもアジア人への固定観念を変えられないことへの批判も、ここから始められるでしょう。

第5回 女性の言葉を探し求める
9月8日(火) 21:00 〜 22:00

第5回では、詩人・思想家である森崎和江の、入門書にして総集編とも呼ぶべき『日本断層論』を取り上げます。

『まっくら』『からゆきさん』など、女性労働者のルポルタージュの復活が近年続いている森崎は、日本にフェミニズムが生まれる前から活動し、のちには最も根本的なフェミニズム批判を発言することもあった人物でした。
今回は、日本の歴史上最も独創的な思想家と呼ぶべき森崎に、歴史学者の中島岳志がインタビューした『日本断層論』から、彼女の思想のエッセンスをピックアップ。
女性の生きづらさの根源に言語表現の問題があることを突き止めた森崎の批評的側面を取り上げます。

果たして、子供を産むことだけが「産む」ことなのか?
産む/産まれる、を彼女がいかに思想化したのか、学んでいきましょう。

第6回 精神の醜悪さを直視する
9月15日(火) 21:00 〜 22:00

第6回では、詩人・金子光晴『絶望の精神史』を解説します。

戦前・戦中・戦後と、常に反骨の詩人であり続けた金子光晴。
明治以後の近代日本における日本人の醜悪な側面を語る彼は、21世紀を生きる私たちへ記録を残してくれたのだと考えたくなるほど、生き生きと具体的に人々を活写しています。

今回はこの批評を読みながら、金子光晴の詩もご紹介します。
彼はいかにして、詩というメディアで日本の封建的性質や戦時体制と戦ったのか、その実例は私たちに新たな力を与えてくれるかもしれません。

第2シリーズ『文学と芸術篇』

第1回 芸術は何のためにあるのか
9月22日(火) 21:00 〜 22:00

第1回では、ソ連の文学者シクロフスキーが書いた論文「方法としての芸術」を取り上げます。

文学とは、何のためにあるのか。誰もが一度は考えたことのあるこの疑問に、シクロフスキーは明確な答えを出します。曰く、当たり前に思えることを、当たり前ではないと気づかせるためにあるのだ、と。
この発想は、1917年に発表された後、芸術一般の存在理由のひとつとして広まっていきました。記念碑的な批評を、その実践例とともに見ながら、批評の基礎技術「異化」を身につけます。

第2回 文学史に隠された傾向を発見する
9月29(火) 21:00 〜 22:00

第2回では、文芸批評家・斎藤美奈子『妊娠小説』を取り上げます。

近代日本文学を支配してきた男性の視線。それを振り返ってみれば、日本文学の歴史には、「望まない妊娠」というテーマが一貫して扱われてきたではないか、と見抜いた文芸批評の金字塔です。
歴史をある1点を通してだけ見る、と言う手法もさることながら、書いた作家本人は大真面目であったろう作品をおちょくり続ける斎藤の文体にも注目してみます。

小説に詳しくない人でも大丈夫。取り上げる小説のあらすじは講座の中で解説します。

第3回 言葉の限界に行き当たる
10月6日(火) 21:00 〜 22:00

第3回では、小説家・尾崎翠と、批評家・蓮實重彦『反=日本語論』を取り上げます。

小説『第七官界彷徨』で知られる尾崎翠は、そのあとがきとも言える「『第七官界彷徨』の構図その他」の中で、「言葉はつねに文学の強敵」とぼやいています。
これは私たちの常識に反する表現のように聞こえますが、その真意は何だったのか。
ここに、文芸作品の実作者ならではの苦悩を見出してみます。

今回はもう1作品、蓮實重彦『反=日本語論』を合わせて解説します。
フランス文学者の筆者、ベルギー生まれでフランス語話者の妻、そしてその息子という3人が出会う、言葉の様々な生態。
それをつぶさに観察することで、私たちが持っている言葉に対する常識が通用しなくなる状態が見出されます。
生活の中から生まれた、既存の「日本語論」への批評でありながら、正解や結論を出さない蓮實のスタイルにも注目します。

第4回 作品が作者を裏切る
10月13日(火) 21:00 〜 22:00

第4回では、小説家・大西巨人の批評「俗情との結託」を解説します。

今日出海と野間宏。2人の小説家が戦後に書いた作品に対して、大西は「俗情」というキーワードを用いて批判を展開します。
前者に対しては、性的退廃を。後者に対しては、犯罪が革命につながるという構図を。
さらに、作品は時に、作者の意図を裏切るようにして書かれてしまうという実例を指摘します。

日本における批評の名品でありながら、明晰さと曖昧さが混在するこの文章から、私たちが小説に限らない芸術作品を読み取る際に注意しなければならないポイントを学びます。

第5回 “映える”写真の逆とは何か
10月20日(火) 21:00 〜 22:00

第5回では、写真家・中平卓馬『なぜ、植物図鑑か』を取り上げます。

アレ・ブレ・ボケの写真スタイルで、視覚表現に新たな領域を切り開いた中平とその仲間たち。
全く新しい詩情を生み出した中平は、その後、かつての自分を裏切るかのように、過去の作品を批判し、これからは物の本来の姿を写真で捉えるのだと「なぜ、植物図鑑か」と題したエッセイで宣言します。

しかし、中平はその後、健康状態を悪化させ撮影不能になってしまう。
しかも当の文章は、彼が何を目指しているのか、具体性が充分とは言えないまま公表された。
中平は何がしたかったのか?
彼が書いた文章を批判的に読みながら、自分の思想を言語化する際の注意点を学び取りつつ、これを読む私たちはどのように新たな表現を作れば良いのか、までを検討してみましょう。

第6回 盲目の写真家は何を撮影しているのか
10月17日(火) 21:00 〜 22:00

第6回では、港千尋『映像論』を解説します。

1998年に刊行された、写真家で批評家の湊千尋『映像論』は、少々抽象的で曖昧な内容ながら、今日でも読まれ続けています。
従来、静止画や動画は「光」の観点から語られてきました。しかし港は、「記憶」の観点から映像全般を読み直す試みに挑戦します。

港の主張を追いながら、最終章「闇の視線」の内容を検討してみましょう。
スロヴェニア出身の全盲の写真家ユジェン・バフチャルは、どのように写真を撮影し、どのような写真が生み出されているのか。
そして私たちは、彼の写真を見る時、どのような感情を抱くのか。

芸術作品の受け取り方・捉え方を、新たな形で考えます。

受講料

第1シリーズ

一般料金:

¥35,200(税込)

8月6日までのお申込、
もしくは、
過去に彗星読書倶楽部の講座を受講されたことがある方:
¥30,800(税込)

第2シリーズ

一般料金:

¥35,200(税込)

9月1日までのお申込、
もしくは、
過去に彗星読書倶楽部の講座を受講されたことがある方:
¥30,800(税込)

第1+第2シリーズ

全12回の受講をお申込の場合:
¥61,600

決済方法は、クレジットカード決済・銀行振込の2種類からお選びいただけます。

特典

  • 各回の様子は録画し、各回後にお送りするメールに記載されたURLから、YouTube上でご覧いただけます。この動画は今後いつでもご視聴可能です。
  • 講義資料は各回終了後にPDFで配布されます。
  • 各回の講義資料の最後には、受講生のための自由課題を用意しています。
    講義内容に沿った作文問題に答えメールでお送りいただくと、講師からコメントが送られます。

【定員】

10名

【受講方法】

下記の申込フォームを記入のうえ、送信してください。
送信後48時間以内に料金のお振込用メールをお送りいたします。
お振込が確認出来次第、メールにてZoomリンクをお送りしますので、当日の開催時間になったらご入室ください。
今回の講座は、カメラオンでもオフでも参加可能です。

【講師】

1993年生まれ。小説家。
早稲田大学文化構想学部文芸ジャーナリズム論系卒業。
さまざまな媒体に小説・詩・批評・エッセイを発表する傍ら、2018年にウェブサイト『彗星読書倶楽部』を開設、オンライン・オフライン問わず読書会を開催。
2021年、YouTubeチャンネル『彗星読書倶楽部』を開設、国内外の文学作品を原典や最新研究に準拠しながらも創造的に読解する解説動画を配信している。
2022年、読書好きが集まるコミュニティ『彗星読書倶楽部クラブメンバーシップ』を開始。
2023年6月、作品集『深い瞳を鋭くして』を刊行。
同年8月、日本には少ないクリエイティブライティングの講座『小説の教室』を開講。
同年11月、新サービス『彗星ブッククラブ』を開始。話題の新刊の著者インタビュー映像や解説動画を独占配信。
2024年12月、作品集『大禍時 幻の巻』を刊行。
2025年11月、作品集『大禍時 影の巻』を刊行。

【収録映像について】

本講座の収録映像全12回は、2026年9月1日より順次、各月1日に彗星読書倶楽部の月額会員向け動画として配信されます。
講座資料と自由課題は、講座受講生のみの特典となりますので、ご了承ください。

【その他・お問い合わせ】

※講座開始後は返金には応じられませんのでご了承ください。

お問い合わせは
info@suisei-trade.com
(合同会社彗星通商 販売部 加藤)
までご連絡ください。

プライバシーポリシー
特定商取引法に関する表記